こんにちは、柴山です。
コーチングについての4回目です。
GROW モデルとは
- Goal(目標):明確な目標設定
- Reality(現状):現状分析
- Options(選択肢):選択肢の創出と評価
- Will(意志):行動計画の立案とコミットメント
コーチングの一連の流れを4段階にまとめたガイドライン(のようなもの)です。
知っておくと便利な一方で落とし穴もありますので、その辺りも解説します。
Goal:まずは目標を設定しよう
コーチングを雑談で終わらせないために、可能な限り明確で具体的な目標を設定します。
Goal設定の良い例:
コーチ:1年後、具体的にどのような状態になっていたいですか?
クライアント:1年後には、月間売上を現在の1.5倍の300万円に増やしたいです。
Goal設定の悪い例:
コーチ:将来的に何か目標はありますか?
クライアント:はい、もっと稼ぎたいです。
目標は必ずしも数字化できるものとは限りませんが、「達成できた・できなかった」を明確に判定できるものが望ましいです。
達成できたかどうか明確な例
チーム内で毎週定例ミーティングを開く
達成できたかどうか不明確な例
チーム内のコミュニケーションを強化する
上の例だと定例ミーティング開催を定める方が、目標としてはより具体的・明確であると言えます。ただし、クライアントが明確な目標を持っていないからと言って…
コーチ: 1年以内に達成したい目標はなんですか?
クライアント: うーん、よく分かりません。
コーチ: では、こうしてはどうですか?(コーチが提案してしまう)
このように誘導してしまうのはアウトです。これについては「Options」の項目で説明します。
「目標を決めてはみたけど、なんだか面倒…」とならない為には?
上に出した「Goal設定の良い例」の対話の続きを追ってみます。
コーチ:1年後、具体的にどのような状態になっていたいですか?
クライアント:1年後には、月間売上を現在の1.5倍の300万円に増やしたいです。
コーチ: その目標を達成は、あなた自身にとってどのような意味がありますか?
クライアント: チーム内でトップの成績を収めることで、次のステップへの足がかりにしたいと考えています。
クライアントが自分で決めた目標とはいえ、改めて考えてみると大変そうに思えたり、面倒くさく思えたりすることはあり得ることです。
そこでコーチはクライアントに対して、「目標を達成する意味」を考えるよう促したり、目標を達成した将来の自分をイメージさせることで、「ワクワク感」を引き出しましょう。
Reality:現状を分析することで目標との距離が見えてくる
次に現状分析です。
現在どのような取り組みを行っているか、達成度合いはどうなのか、目標までの距離感を把握します。
先ほどの対話の続きです。
コーチ: なるほど。では次に、現状について確認していきましょう。直近の月間売上は目標に対してどの程度の位置にありますか?
クライアント: 先月は前年平均の1.2倍程度です。まだ目標には届いていない状況です。
コーチ: そこまで到達できているのは素晴らしいですね。その成果を上げるために、どのような取り組みをしてきましたか?
クライアント: 新規顧客の開拓に力を入れ、訪問件数を増やしました。また、既存顧客へのフォローアップも強化しています。
コーチ: 本来すべきことを100とすると、現状できていることは何点くらいでしょうか?
クライアント: う~ん、まだ60点といったところですかね…
コーチ: もう60点もできているんですね!(肯定的・前向きなフィードバック)
目標の為に努力するのは時に(あるいはいつも)しんどいものです。
が、既に取り組んでいることや達成具合をポジティブに振り返ることで、モチベーションUPにつながります。また、現状を把握していることは、次に何をすべきかの検討にもつながっていきます。
せっかくなので使いたい、分析手法あれこれ
中小企業診断士の試験対策として学んだフレームワークも色々と使えます。
- SWOT分析:個人的なこと、事業的なことを問わず使える
- 3C分析:クライアントが新事業に挑戦したい時に有効
- VRIO分析:クライアント事業の強みをさらに分析したい時に
場合によりけりですが、この辺りを使うことで客観的な分析につながる可能性があります。
せっかくなので生かしましょう。
Options:選択肢はきっとたくさんある(はず)
コーチングにおいて、問題の解決法は多くの場合クライアントの中に眠っています。あるいは問題を解決できる能力をクライアントは本来持っているはずだ、という考え方の元で行うのがコーチングだとも言えます。
ですが、本来もっとたくさんあるはずの選択肢が視界に入らず、思考の堂々巡りをしてしまうのは誰にでもあるのではないでしょうか?
ということで、コーチングでは「他には?」の質問をすることで、選択肢をクライアントの中から引き出します。
対話例(良い例):コーチ:目標達成のために、どのような選択肢が考えられますか?
クライアント:うーん、まずは残業を増やして作業時間を確保することですかね。
コーチ:なるほど、作業時間の確保ですね。他にはどんな方法が考えられますか?
クライアント:そうですね、業務の優先順位を見直すことも考えられます。
コーチ:素晴らしいですね。優先順位の見直しは重要な視点です。さらに他の選択肢はありますか?
クライアント:チームメンバーとの協力体制を強化することも考えられます。
コーチ:チームワークの活用ですね。素晴らしいアイデアです。まだ他に思いつくことはありますか?
対話例(悪い例):
コーチ:目標達成のために、どのような選択肢が考えられますか?
クライアント:うーん、まずは残業を増やして作業時間を確保することですかね。
コーチ:残業は健康に良くないですよ。他の方法を考えましょう。
クライアント:そうですね…でも他に思いつきません。
コーチ:じゃあ、業務の効率化はどうですか?それが一番良い方法だと思います。
悪い例では、コーチがクライアントの選択肢を否定し、自分の意見を押し付けています。クライアントの自己決定ではなく、コーチが意見を押し付けてしまうことの問題点は以前の記事を参考にしてください。
選択肢はブレーンストーミングの要領で引き出す
クライアントが回答した選択肢(解決案)は玉石混交となっているかと思います。
どの解決案を採用するか自身もクライアントが自己決定すべき、と考えるならコーチは一つ一つの案に対して判定というかダメ出しをすべきではありません。
それよりはブレーンストーミングの要領でアイデア出しを進めていきましょう。
ブレーンストーミングのポイント
- 聞き手は判断を控える(ジャッジしない)
- 質より量を重視
- 制約を取り除いて考えてみる(もしも…が可能だったら、など)
- 沈黙を恐れない(クライアントが沈黙、考え込んだ場合に解答を催促したりしない)
さらに、クライアントが選択肢を出すたびに肯定的なフィードバックを返すことで、アイデアをどんどん出していくことが出来るはずです。
Will:行動計画を立てよう!
目標を立て、
現状を分析し、
出来うることの選択肢が揃ったら
あとは行動です。
ここから、SMART原則の説明に入ろうかと思ったのですが、だいぶ長くなってきたので次回にしようと思います。
ということで、今回はここまで。