中小企業診断士とビジネスコーチング⑤ SMART原則

こんにちは、柴山です。
コーチングについて、前回のGROWモデルからの続きです。

コーチングにおけるSMART原則というのは目標(Goal)および意思(Will)設定において

  • Specific(具体的)
  • Measurable(測定可能)
  • Achievable(達成可能)
  • Relevant(関連性)
  • Time-bound(期限)

これらをしっかり押さえよう、という考え方です。

INDEX

「SMART」各要素はこんな感じです。

SMARTの要素を踏まえたコーチング対話例を作ってみました。下手に説明するよりも分かり易いと思います。

コーチ:田中さん(クライアント)、先日の営業成績向上についての目標、『もっと頑張る』というのをもう少し具体的にしてみましょうか。

田中:はい、そうですね。でも具体的にというと、どういうことでしょうか?

コーチ:そうですね。例えば、SMART原則というのを使って考えてみましょう。まず、Specificつまり具体的に。何を、どのくらい向上させたいですか?

田中:そうですね…売上を10%増加させたいです。

コーチ:素晴らしいですね。では次にMeasurable、測定可能にするには?

田中:現在の月間売上が1000万円なので、1100万円を目指すということですね。

コーチ:その通りです。では、Achievable、達成可能かどうか。この目標は現実的だと思いますか?

田中:少し挑戦的ですが、頑張ればできそうです。

コーチ:良いですね。Relevant、関連性については?この目標は会社や部門の目標と合致していますか?

田中:はい、会社全体で15%の成長を目指していますので、合致しています。

コーチ:素晴らしい。最後にTime-bound、期限ですね。いつまでにこの目標を達成したいですか?

田中:そうですね…3ヶ月後の四半期末までに達成したいです。

コーチ:素晴らしいですね。これで、『3ヶ月後までに月間売上を1000万円から1100万円に増加させる』という、SMART原則に基づいた具体的な目標ができました。この目標に向けて、どんなアクションを起こしていきますか?

田中:既存顧客へのアプローチを増やすことと、新規顧客の開拓を並行して進めていきたいと思います。

コーチ:素晴らしいプランですね。この目標とアクションプランを元に、定期的に進捗を確認していきましょう!

コーチングで目標を定めたとしても、それが曖昧なままだと達成できているのかどうかもはっきりしません。

ということはクライアントがサボろうと思えばサボれてしまうので、結果的に誰も得をしない展開となってしまいます。

そこでSMARTの原則を意識して、目標設定の精度を上げておけば、嫌でも(?)結果がついてくるだろうという考え方です。

とはいえSMARTは出しどころが肝心?

例えば貴方の業績が思わしくない原因が、職場の人間関係やストレス、家庭の事情等にあるのに、

それでは目標を数値化しましょう!
とか言われても、ピンとこないどころか、

2度とコーチングなんか受けるか!
と、そのまま席を立って帰ってしまいたくなるはずです。(私ならそうします)

SMARTの原則を適用にあたっての注意点としては

  • タイミング:クライアントが課題達成に対して前向きな心理になっていること
  • 柔軟性:状況の変化に注意し、初期に設定した数字にこだわり過ぎないこと
  • 創造性:数値化しやすい目標を追いかけるあまり、視野が狭くなったり質がおろそかにならないこと
  • 長期性:短期間で達成できる範囲の目標にこだわり過ぎないこと

こういったことだと思います。加えて真の原因や問題をクライアント自身が気付いていない可能性も大いにあります。なので、
目標は設定できた!
はい、終了!

というセッションにならないよう注意が必要です。

以下は、クライアントの不安や自信の無さを無視してしまった対話例です。

コーチ:田中さん、今日は営業成績向上について具体的な目標を立てていきましょう。SMART原則を使って考えてみましょう。まず、具体的な数値目標はありますか?

田中:はい…そうですね。売上を20%増加させたいです。

コーチ:素晴らしいですね。では、それを測定可能にするには?

田中:現在の月間売上が500万円なので、600万円を目指すということになります。

コーチ:なるほど。では、この目標は達成可能だと思いますか?

田中:正直、少し不安です…

コーチ:不安があるのは当然です。でも、具体的な行動計画を立てれば達成できるはずです。では、この目標は会社の方針と関連していますか?

田中:はい、合致しています。

コーチ:良いですね。最後に、期限を設定しましょう。いつまでにこの目標を達成したいですか?

田中:3ヶ月後でしょうか…でも、本当にできるかどうか…

コーチ:大丈夫です。では、『3ヶ月後までに月間売上を500万円から600万円に増加させる』という目標ができました。この目標に向けて、どんなアクションを起こしていきますか?

田中:はい…新規顧客の開拓を頑張ります。

コーチ:素晴らしいですね。それでは、この目標とアクションプランを元に、頑張っていきましょう。

感情を無視・軽視するのは絶対ダメ!

コーチングの意義を考えたとき、
この人(クライアント)の考え方は
間違っているから、
私が正しい考え方というものを
教えてあげよう!


ということでは絶対ないはずです(自戒をこめて)。

GROWモデルやSMART原則に則って対話を進めれば、コーチングの流れをある程度テンプレ化できる可能性があります。コーチ側はその方が楽かもしれませんが、

それによって、

目標の数値や期日 > クライアントの人格や感情
にならないようにしていきたいです(再び自戒をこめて)。

ということで、今回はここまで。



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