【HOW TO 補助金申請⑨】事業計画書に不可欠な分析とは?

事業計画書と市場分析

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こんにちは、柴山です。

補助金の審査を通過するため、最重要添付資料である事業計画書には、
この投資は有望!ぜひ補助金を投入すべき!
と思わせるだけの材料が詰まっていなければなりません。その際の判断材料として重視されるのが自社や市場の分析です。

本記事では補助金申請の実務に活かせる3C分析やSWOT分析と、事業計画の整合性の重要性を、実例を交えながら解説します。

なお事業計画書の記載項目にどのようなものがあるかについては、こちら の記事をご覧ください。

この記事は補助金一般に関する解説です。説明を簡略化するために、個々の補助金ごとの違い(要件や制度等)について説明を省略している箇所があります。実際の申請では詳細の確認が別途必要です。

INDEX

なぜ分析が重要なのか?

補助金申請を検討している方の多くが最初に思うこととして
新しい設備が欲しいだけなのに、なぜ自社の強みや市場の動向を長々と書かなければならないのか?
ということがあります。

この「なぜ?」について、納得した上で事業計画書作成に取り掛かるのか、それとも腑に落ちないまま仕方なく進めるのかは事業計画書の出来・不出来に大きく影響します。

つまり、ここが「採択される事業計画書」と「不採択になる事業計画書」の分かれ道になり得るということです。

審査員は、あなたの会社の「過去・現在・未来」を知りたい

補助金の原資は、国民から集められた税金です。国や自治体は税金を使って設備を無作為にプレゼントしたいわけではありません。

あなたの会社に補助金を投入することについて

  • その企業の売上が伸び、利益が出るのか
  • 地域経済や雇用に貢献できるのか
  • 投資した以上の成果(付加価値)が生まれるのか

といった観点から将来性(投資対効果)を厳しくチェックしています。

そのために必要な情報として、あなたの会社や市場環境について

  • 過去:設立の経緯や沿革
  • 現在:売上の内訳、強みや弱み
  • 未来:チャンスとなり得る機会、ピンチになり得る脅威など

こういったことを把握したいと考えるのは当然の流れです。

審査は限られた時間で行われる

補助金申請に対する審査がどのように行われているか、具体的な事は明らかにされていません。しかし、多くの申請をチェックしなければならない関係上、1件1件の審査にそれほど時間をかけられないことは想像がつきます。

となると審査員は、
なになに次の申請は○○業界か…、
あまり詳しくない業界だから、
まずはネットでじっくりと下調べをしてから事業計画書に目を通そう…

といったことは現実的に難しいと思われます。

このため誰が審査員だったとしても、
業界の動向や補助金の必要性について、
たとえ予備知識が無くても
事業計画書に目を通しただけで納得できた!

というぐらい完成度が高い事業計画書にしておいた方が採択される可能性は高くなります。

さらに言えば、自己流のオリジナル分析方法を長い文章で説明しようとするより、既存のフレームワークに沿って図表を示した方が審査員の理解を得られやすい、ということもあります。

フレームワーク「3C分析・SWOT分析」とは?

フレームワークとは、直訳すると「枠組み」という意味です。
ビジネスにおいては、「情報を整理することで問題について考えやすくするための型」のように考えてください。

例えば、片付けをする時に「衣類」「本」「食器」とラベルが貼られた棚(フレーム)があれば、迷わず整理整頓ができます。事業計画書も同じで、情報を特定の型に当てはめて整理することで課題などが明らかになります。

フレームワークには多くの種類がありますが、今回は補助金申請で最もよく使われる2つの代表的な型をご紹介します。

3C分析で市場を俯瞰する

3C分析は、Customer(顧客・市場)Competitor(競合)、Company(自社)の3つの頭文字をとったものです。この3つの視点から情報を整理することで、自社が「どこで戦えば勝てるのか」を明確にします。

  • Customer(顧客・市場): 市場のニーズはどこにあるか? 顧客は何に困っているのか?
  • Competitor(競合): ライバルは誰か? 彼らはどんなサービスを、いくらで提供しているのか?
  • Company(自社): 自社にはどんな技術や実績があるのか? 競合に負けない点は何か?

SWOT分析で自社について掘り下げる

3C分析などで集めた情報を、さらに「内部環境(自社)」と「外部環境(外の世界)」に分け、整理するのがSWOT(スウォット)分析です。

  • S:Strength(強み) … 自社が持つ得意分野、リソース。
  • W:Weakness(弱み) … 自社の苦手なこと、不足しているもの。
  • O:Opportunity(機会) … 自社にとって追い風となる外部要因
  • T:Threat(脅威) … 自社を脅かすリスクとなる外部要因

実在の企業で見る3C分析とSWOT分析

ここで3C分析、SWOT分析を実在の企業に対して行ってみます。

トヨタ自動車で見る3C分析

トヨタ自動車の3C分析

Customer(顧客・市場)SUVやピックアップトラックへの需要拡大、環境配慮意識の高まり、次世代の主流を巡ってのEV・ハイブリッド車の開発競争
Competitor(競合)ホンダなど国内自動車メーカー、ドイツの高級車メーカー、テスラ・BYDなどEV専業メーカー
Company(自社)トヨタとレクサスの2つのブランドを保有、軽自動車から大型車までの商品ラインナップ、信頼性と耐久性によりリセール価値が高い、世界トップのハイブリッド車の開発力

ここからトヨタ自動車について考えてみると…
トヨタ自動車はフルラインナップ戦略(全方位戦略)を採用していることにより、開発した技術を多くの車種で活かすことができます。その反面、あらゆる車種カテゴリーにて世界中の競合企業と戦う必要がある、というのがトヨタ自動車を取り巻く市場環境と言えます。

スシローで見るSWOT分析

SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの視点から整理し、戦略の方向性を明確にします。

◯ スシローの場合

Strength(強み)オペレーションの効率、大量仕入れによる価格競争力、知名度
Weakness(弱み)食材価格への影響を受けやすい、少子高齢化により店員確保が困難
Opportunity(機会)インバウンド回復、海外での寿司人気
Threat(脅威)国内・国際情勢による原価高騰、ライバルとの競争(くら寿司・はま寿司など)、悪質客によるSNS炎上

ここからスシローについて考えてみると…
低価格により人気を得てきた分、食材の高騰により価格を上げると消費者が離れてしまうリスクが常につきまといます。価格以外で消費者から選ばれる理由(付加価値)を生み出せるかが今後の課題です。

3C分析やSWOT分析のように、思考の枠組みを使って情報を整理することをフレームワークと呼びます。

架空の飲食店で事業計画書を考えてみる

居酒屋A店についてSWOT分析をしたところ次のようになったとします。

A店のSWOT分析
強み:新鮮な食材の仕入れルートと高い調理技術により地元客の支持を得ている
弱み1:駅から徒歩20分と離れている
弱み2店舗は広くなく座席数は少ない
機会:最近、低温調理メニューが話題になっており、A店でも常連客に試食してもらったところ好評だった
脅威:駅周辺が再開発されて安価な飲食店チェーンが増えたせいか、A店の売上は下降気味である

その他(新しい試みとその結果):飲食店チェーンへの対策として手頃な値段の「ちょい呑みセット」を試してみたところ、来客は増えたが客単価が下がり、また満席で座れず帰ってしまう客が目についた

ここまでの情報を使って、A店にあった事業計画、そうでない事業計画を考えてみました。

A店の特徴にあった事業計画は?

事業計画:低温調理による新メニューの開発による高付加価値化

  • 高単価料理で「客単価UP」=少ない席でも売上増を狙える
  • SNS映え、特別感を打ち出し若年層の新規来店促進
  • 食中毒リスクを回避するため補助金を活用して高度な温度管理ができる調理機器を導入

A店の強み(調理技術・仕入れ品質)により・市場トレンド・弱点対策が一体となっており、審査員に「筋が通った」計画として映る

自らの特徴を生かした事業計画で繁盛するA店

A店の特徴にあわない事業計画は?

事業計画:全品100円引きで集客強化+チラシ配布

  • 席数に限界があるため、客単価を下げることで売上総額はむしろ減少
  • 居酒屋の業態は回転率も低めなので「薄利多売」が成立しにくい
  • 自社の強み(調理技術・仕入れ品質)を活かすことなく、チェーン店との低価格勝負になってしまう

自社リソースと戦略が噛み合っておらず、苦戦が予想される

低価格路線に走ってしまい、利益が出ず苦戦するA店

やりたい事業と分析結果の整合性が重要

A店の2つの事業計画の例で分かるように、

我が社および我が社を取り巻く市場環境について、こういう分析結果がある
これを元に考えると強みを活かし、弱みを克服して将来の成長につなげるには、こういう事業が有効


…ということが矛盾が無い1つのストーリーとして完結している必要性があります。

このストーリーに納得性が高ければ採択される可能性が高く、そうでなければ採択は難しくなるというわけです。

実際の補助金で審査されるポイントは?

ここでは第18回 小規模事業者持続化補助金の公式情報(公募要領)を元にどのような観点から審査が行われるか、概略をまとめてみました。

基礎審査

以下を全て満たさない申請は失格となります。

  • 必要な提出書類がすべて提出されていること
  • 補助の対象となる事業として要件に合致すること
  • 補助事業を実行するために必要な能力がある
  • 小規模事業者の技術やノウハウ等を基にした取組であること

要件に合致するなどに加えて、該当の事業者の規模や能力的に非現実的な事業はNGということになります。

計画審査

以下の項目について総合的な評価が高いものから順に採択されます。

  • 自社の製品・サービスや自社の強みや弱みも適切に把握している
  • 経営方針・目標と今後のプランの適切性
  • 補助事業計画の有効性
  • 積算の透明・適切性

しっかりとした3C分析・SWOT分析に基づいた事業計画は「計画審査」において有利になることは、この記事をここまで読んで頂いたかには明らかかと思います。

加点審査

それ以外の審査項目として、賃上げであったり女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」を受けているなど、特定の政策的な観点から加点が行われます。

加点項目は補助金ごとに異なりますが、概要については以下の記事で解説しています。

口頭の審査もある!
ものづくり補助金など、投資規模が大きい補助金では口頭審査が行われることがあります。
審査は一定の基準を満たした事業者のみを対象にzoomなどオンラインで行われます。審査に対応できるのは事業者本人(経営者)のみで、コンサルタントなど外部専門家による代理は認められません。

分析と戦略がかみ合ってこそ「説得力」が生まれる

この記事の序盤に書いた、
新しい設備が欲しいだけなのに、なぜ自社の強みや市場の動向を長々と書かなければならないのか?
という疑問は、ここまで読んで頂いた時点でほぼ解消しているはずです。

3C分析やSWOT分析を行い、それを元に事業計画書を作ることは手間と言えば手間ですが、考えようによっては自社の置かれた状況を冷静に考える良い機会になるのではないでしょうか?

そこで、この記事を読んで頂いた方が
ちょうど補助金申請を検討していたところだから、さっそく我が社のSWOT分析をしてみよう!
そう考えた時、次に浮かぶ疑問は…

そもそも我が社の「強み」ってなんだっけ?
です。

これは別に冗談でもなんでもなく特に

  • 二代目以降の経営者の方
  • BtoBビジネスで、これまで取引先の要望に応えることだけで精一杯だった方

などの場合、「これまで自社の強みについてちゃんと考えたことが無い」ということは往々にあります。

もちろん創業者の方や、BtoCビジネスで消費者に直接向き合わなければならない経営者であっても、自社の強みがすぐに思い浮かばないということはあり得ることです。

そういった方にとっては次回記事(以下リンク)がお役に立つかと思います。

重要!補助金申請の代理・代行につきまして
当事務所ではこれまで中小企業診断士として補助金申請のサポートを行っておりました。
法改正により、補助金申請における事業計画書等の作成代行および代理申請は2026年1月以降は、行政書士の独占業務となります。
お客様へより良いサービスを提供するため、現在当事務所では行政書士の登録および開業の準備中です。

補助金ごとに規定が異なるため、代理申請に制限がある場合がございます。

事業計画書と市場分析

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