【2次つまみ食い】事例Ⅳ 損益計算書編(過去問解説付き)

こんにちは。柴山です。
前回は記事はイントロだけだったので、今回より【2次つまみ食い】を本格的に始めます。

現時点で1次の勉強しかやってない方も、是非やってみてください。今の時点で出来なかったところで落ち込む必要など全くありませんので、気楽にどうぞ。

今回はこんな方におすすめ
・1次「財務・会計」の財務諸表について学習が一通り終わっている方
・2次「事例Ⅳ」はまだ着手していない方

INDEX

ところで事例Ⅳでの損益計算書の出題頻度は?

今回、事例Ⅳで実際に出題された損益計算書の過去問をやってみる訳ですが、それでは損益計算書の出題頻度はというと…、

はっきり言って、低いです。

いや、低いんかよ!

というツッコミはさておき、損益計算書をきっちりマスターできていないとマズイ理由があります。

図解
損益計算書ができないと何がマズイのか!?

損益計算書の問題

出来ないのだから
出来ない
損益分岐点分析の問題
(CVP)

もちろん出来ない
キャッシュフロー(CF)計算

出来ない

正味現在価値(NPV)

出来ない

意思決定会計

出来る訳が無い
その他:
部門別会計
セールスミックス等

言うまでも無く
出来ない

最近の事例Ⅳではシンプルな損益計算書の問題はほぼ出題されないものの、ここを踏み越えないと上記のような頻出ジャンルの問題はことごとく解けないというのが現実です。ということで、とっととやってみましょう。

実践編:平成29年度 第2問(設問1)

念のため書いておくと、過去問は全て中小企業診断士協会のサイトで閲覧、ダウンロードできます。

ただし1次試験とは異なり、2次試験では公式の解答が公開されていません。とはいえ資格予備校の他に合格者の方々が解説ブログ等をアップしているので、だいたいの過去問についてネット上で解答方法を見つけるのではないかと思います。

解答&解答方法がネット上で見つからない場合、または解説に納得がいかない場合は市販のテキストを買うなり、予備校の先生に聞くしかありませんが、そのくらいのコストは惜しまず払いましょう。

話が逸れましたが見出し通り平成29年度の問題です。平成29年の問題全体は上記よりダウンロードしてご確認ください。

第2問(配点18点)
(設問1)
以下の来年度の予測資料にもとづいて、染色関連事業の予測損益計算書を完成させよ。なお、端数が生じる場合には、最終的な解答の単位未満を四捨五入すること。
<予測資料>
当年度の損益計算書における売上原価のうち 1,650 百万円、販売費及び一般管理費のうち 120 百万円が固定費である。当年度に一部の工場を閉鎖したため、来期には売上原価に含まれる固定費が 100 百万円削減されると予測される。また、当年度の売上高の 60 % を占める大口取引先との取引については、交渉によって納入価格が% 引き上げられること、さらに、材料価格の高騰によって変動製造費用が% 上昇することが見込まれる。なお、その他の事項に関しては、当年度と同様であるとする。

予測損益計算書(単位:百万円)

売上高
売上原価
  売上総利益
販売費及び一般管理費
  営業利益

2次の問題を解いた経験を無い方でも、落ち着いて設問文を読めば何とかなるはずです。
ここから下に解説が続くのですが、せっかくの機会なのでまずは自力でやってみることを強くオススメします。では損益計算書の上から数字を埋めていきます。(数値の単位は全て百万円です)

まずは来期の売上高を計算します。
今期売上高:3,810
売上の60%を占める大口取引先に対しては納入価格を3%引き上げ
3,810×0.6×1.03=2354.58 …①
残りの40%はそのまま
3,810×0.4=1,524 …②
①+②=3878.58 
これが来年度の売上です。(端数を整えるのは最後にやります)

ここでのポイントは「納入価格」が取引先への販売価格を指していることを理解できるかです。落ち着いて読めばどうということはないのですが、試験本番でのプレッシャー下では思わぬ勘違いしがちなので要注意です。

次に売上原価
当年度の売上原価3,326のうち1650が固定費なので変動費は残りの1676
固定費は来期100削減されるので
1650-100=1550 …③
変動費は5%アップするので
1676×1.05=1759.8 …④
③+④=3309.8
これが来年度の売上原価です。(端数については同様)

最後に販売費及び一般管理費(略して販管費)
設問文には当年度の販管費うち120が固定費と書かれています。
わざわざそう書いてある以上、こっちも来期の数字を計算しないといけないのかと言えばそんなことはありません。(売価と原価は変わっても受注量が変わった訳では無いため、変動費は変わらない)
ということで来期の販管費は当年度と同じ270です。

最終回答:ここまでで計算した数字を、設問の要求通り百万円未満を四捨五入すると下記となります。

予測損益計算書(単位:百万円)

売上高3879
売上原価3310
  売上総利益569
販売費及び一般管理費270
  営業利益299

いかがでしょうか?
ここまでの計算は多少面倒くさい(すごく面倒くさいというほどではない)ですが、2次の問題に着手してない方でも何とかなるはずです。

これがつまり、私が事例Ⅳの取っ掛かりとして最初に損益計算書を持ってきたことの理由です。
要するに、2次の問題といえどやってみれば何となるでしょ?ということですね。

実践編:平成27年度 第2問(設問1)

あと1問やります。これが解ければ貴方はもう損益計算書マスターです。

マスターの称号はどうでもいいとして、ここまでやっておけば

自分は2次の問題にも着手しているんだ

という確かな手応えを感じながら、今晩ぐっすり眠ることができるはずです。

自分が今日できることをやり残しているのではないかと思うと落ち着いて眠れない、このブログはそんな受験生心理にも寄り添ったものになっております。(なんて優しい)

ということで、まずは平成27年度の事例Ⅳの問題をお手元に用意、一度ご自分でやれるところまでやってみてください。

第2問(配点 34 点)
(設問1)
以下の損益予測に基づいて、第X3 期の予測損益計算書を完成させよ。なお、利益に対する税率は 30 %とし、損失の場合には税金は発生しないものとする。

<損益予測>
第X3 期の売上高は、X 社からの受注減少によって第X2 期と比較して 10 %減少すると見込まれる。また、第X2 期の損益計算書の費用項目を分析したところ、売上原価に含まれる固定費は 1,020 百万円、販売費及び一般管理費に含まれる固定費は 120 百万円である。第X3 期における固定費と変動費率は第X2 期と同じである。

損益計算書(単位:百万円)

売上高
売上原価
売上総利益
販売費及び一般管理費
営業損益
営業外収益13
営業外費用24
経常損益
特別利益0
特別損失0
税引前当期純損益
法人税等
当期純損益

ということで、これも上から順番に求めます。下記数字の単位は全て百万円です。なおこの設問では端数の処理について特に指示がありません。ということはつまり、四捨五入とかしなくても端数がでないように値が調整されているということです。

売上高
第X3の売上高は第X2期より10%減少
2150×0.9=1935 …①

売上原価
第X2期の売上原価1770のうち
固定費1020
変動費1770-1020=750
第X3期の売上高が10%減少する場合の売上原価は
1020+750×0.9=1695 …②

売上総利益
①ー②=240 …③

販売費及び一般管理費(販管費)
第X2期では320
このうち固定費が120
変動費が200
第X3期の売上高が10%減少する場合の販管費は
120+200×0.9=300 …④

ここまで来たら、あとは足し算・引き算をするだけです。
営業損益
③ー④=-60
経常損益
-60+13ー24=-71

税引き前当期純損益- 71
法人税等      0
当期純損益     -71

最終回答:これで求めたい値が全て揃いました。

損益計算書(単位:百万円)

売上高1935
売上原価1695
売上総利益240
販売費及び一般管理費300
営業損益-60
営業外収益13
営業外費用24
経常損益-71
特別利益0
特別損失0
税引前当期純損益-71
法人税等0
当期純損益-71

いかがでしょうか?

1次試験の損益計算書の問題が難なく解ける受験生であれば、時間を気にせず解く分には難しくないはずです。
もちろん、これは事例Ⅳの一番とっつきやすい問題をやっているだけなので、これが出来たからといって油断は禁物ですが、

と・に・か・く

1次試験終わるまでは1次に専念したいし、かといって2次試験対策ゼロのままでは不安だし…

と、焦りを感じている受験生にとっては、2次試験のほんの取っ掛かり程度であっても自分が前進できていると実感できることはとても意義があることだと思います。

ということで今回はここまで。次回はCF(キャッシュフロー)計算書編の予定です。

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