こんにちは、柴山です。
今回は最新2次試験の事例Ⅲを解いてみます。例によって「解いてみます」とはいったものの、時間も測っていないし、手書きによる解答記述もしていません。
ある意味、前回同様にすごく正直な記事だと思います。(卑怯だけど)
概要:令和6年の事例Ⅲはそれほど情報量が多いわけではない
前回の事例Ⅱ同様、与件文の文字数をWordに貼り付けてカウントしてみました。なお、コピペの際に文字化けすることもありますので、細かい誤差はあるかもしれません。
- 令和元年 2522(図表なし)
- 令和2年 2366(図表あり)
- 令和3年 2285(図表なし)
- 令和4年 2447(図表あり)
- 令和5年 2362(図表あり)
- 令和6年 2159(図表なし)
上記の通り、令和6年は文字数も令和年代では最も少なく、かつ図表もありません。ということで処理しなければならない情報量としては少ないです。
今回の事例Ⅲのもう一つの特徴として、全5問とも配点20点ということです。設問によるウエイトの違いがないので、自分に解けそうなところから解いていけばOKです。
PCでの閲覧推奨:
令和6年 2次試験 事例Ⅲ 与件文&感じたこと
前回同様に画面を左右に分割、与件文全文と読みながら私が感じたことなどを並列にしてみました。必要無いし読みにくいと感じる場合もあると思いますので、今回は折り畳み式にしてあります。
画面の構成上、PCの方が見やすいです。スマホで閲覧の際は画面を横にして読んでください。
与件文とコメントを見たい方は、クリックにより展開してください⇒
令和6年 事例Ⅲ 与件文
【企業概要】 C 社は、資本金 5,000 万円、従業員 70 名、年商約 14 億円の搬送機器製造業である。会社組織は、総務部、設計部、製造部、営業部で構成されている。
搬送機器とは、工場や物流倉庫などで製品・商品や資材などを工程間、設備間で移 動させる機器であり、コンベヤ式や昇降式、パイプライン式など、移動する対象の形 状や大きさ、移動方法に合わせたさまざまな形態のものがある。
C 社は、工作機械メーカーや物流機器メーカーが設計、製造、据え付けする加工機械などの工場設備や、自動仕分け機などの物流設備に組み込まれるローラコンベヤや、ベルトコンベヤを受託生産している。
C 社社長は、工作機械メーカー X 社で、工作機械を設置する顧客企業の依頼を受 けて、搬送機器を含む工場設備レイアウト設計を担当し、工場の生産性を高めること を顧客に提案してきた。その経験を生かして 2011 年に C 社を設立した。
設立当初は賃貸工場で中古機械を活用し、X 社が設計するコンベヤの特注品の受託生産からスタートした。その後、C 社社長の搬送機能についての有効な提案を受けられることもあり、X 社以外の工作機械メーカーや物流機器メーカーの特注品受託生産も獲得するようになった。
受注量の増加に対応するため、工業団地に用地を取得して NC 加工機などの生産設 備を導入するとともに、設計要員や製造要員などの技術者を中心に採用し生産拡大を 図ってきた。現在の取引先企業数は、工作機械メーカー 5 社、物流機器メーカー 3 社 であり、そのうち X 社からの受注金額が多く全体の 6 割を超えている。
X 社では、見込生産の搬送機器を中国企業に生産委託していたが、近年現地生産コ ストが上昇し、さらにコロナ禍以降納品が不安定な状態になったため、生産を国内に 移管したことから、C 社の受注量は近年さらに増加傾向にある。
【受注、設計のプロセス】
受注窓口の営業部に引き合いがあると、顧客企業が作成した製品仕様書および製品図面を確認して、見積書を作成し、顧客企業との価格交渉を経て契約をする。見積金額は、過去に製造した搬送機器の契約金額を参考に、営業部員が材料費と社内加工費、その他の経費を合計して算出し、最終契約金額も含め営業部長が決裁している。
最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは一応行われているものの、契約金額は現状のコスト高には対応できていない。契約後、営業部は、受注番号を付与して受注管理システムに受注情報を入力し、顧客企業が作成した製品仕様書および製品図面 を設計部に引き渡す。受注番号は、製造部では製造番号として使われる。
営業部が受注情報を入力すると、設計部では製品仕様書および製品図面に基づいて 製作図面を作図し、部品構成表を作成する。部品構成表はデジタルデータとして、製造部での材料と外注品の発注、在庫管理に活用されている。
【生産の現状】
製造部は、生産管理課、資材管理課、機械加工課、製缶課、組立課で構成されてい る。
C 社が製造するコンベヤ製品は、ローラやベルトからなる搬送体、搬送体を回転させるモーターを含む駆動部、搬送体と駆動部を支えるフレームの3つの構造体によっ て構成されている。これらの構造体については、フレームは主に製缶課で、駆動部お よび搬送体の加工は機械加工課で内製化されており、その他の外注部品やモーターな どの購入品を加えた最終の組立を組立課が行っている。
設計部で製作図面が完成すると、生産管理課で必要とする各製造工程の工数計画を立て、顧客要求納期を基準として製造番号ごとの大日程計画を策定し、製造部各課に 調達指示、生産指示を出す。その大日程計画と設計部で作成された部品構成表に従っ て、資材管理課では必要材料と外注品の発注を行い在庫管理をする。
機械加工課、製缶課、組立課の製造工程では、生産管理課で作成される大日程計画 に準じて製造を行うが、詳細の進捗管理など生産統制は製造部長以下、製造部各課長 が参加して週 1 回週末に開催される生産会議で調整される。生産会議では、各製造番号の作業進捗状況の確認、各製造番号の材料や外注品の納品状況の確認などを行い、 次週 1 週間の各工程の週次日程計画表を作成する。週次日程計画表の各作業の工数見積もりは、製造部各課長の経験を基に作成されている。また、顧客からの設計変更や 納期変更などが生じた場合など、生産会議には必要に応じて設計担当者が参加し、変更内容を周知して作業順序などの確認を行う。
近年受注量が増加し、顧客から納期の短縮を要請されることもあり、大日程計画や週次日程計画などの工程管理の混乱が生じている。現在は何とか納期を確保できてい るが、今後この傾向が顕著になった場合、現在の管理では納期遅延が生じる恐れがあ り、製造部では IT 利用も図りながらその対応を検討している。
生産工程では、製缶工程(製缶課)の残業や休日出勤が多く、納期対応のため週次日 程計画表の変更が常態化している。前工程の機械加工工程(機械加工課)や後工程の組 立工程(組立課)では、不適合品発生などの特別な場合を除き残業や休日出勤は生じて いない。
製造完了後は製造部で最終検査を行い、顧客企業が指定する場所に納品し、据付は 顧客企業が行う。据付後のメンテナンスについては顧客企業が行うが、X 社の場合は C 社の営業部が担当している。
私が感じたこと・コメント
独立した設計部と営業部がある
物流の知識は1次試験「運営管理」で学習済とはいえ知識が問われると厳しい
受託生産=OEM
あせって受注生産と間違えないよう注意
社長の経験からくる強み
・工場設備レイアウト設計
・工場の生産性を高める提案
・搬送機能についての有効な提案
まだ新しい会社
顧客①工作機械メーカーX社(受託生産)
顧客②X 社以外の工作機械メーカーや物流機器メーカー(受託生産)
つまり①②とも自社ブランド生産ではない
⇒付加価値低いかも?弱み
工業団地に用地取得
・NC加工機など設備増強 強み
・技術者を増員 強み
⇒特注品に対応できる 強み
⇒生産体制全体が強化されたのでは
依然としてX社が主要取引先
(売上依存から脱却したい?)
X社では見込生産(外部委託)もしていた
(ますます売上依存から脱却したい?)
見積書作成(=価格決定)プロセスが属人化している。(標準化されていない)
弱み
原価高騰を見積に転嫁できていない。
⇒おそらく利益率減少
自社ブランドでないことと合わせて弱み
やっぱり、受託制作かつ受注生産だった。
営業部の受注管理システムと
製造部の部品構成表は別系統のシステムらしい
生産管理の選任がいそうな組織構造
◇内製化
・製缶課⇒フレーム製作
・機械加工課⇒駆動部お よび搬送体の加工
・組立課⇒最終組み立て
◇外注
その他外注部品やモーター
(外注管理は誰がやる?)
工数計画の立て方は標準化されてる?
大日程計画はある
⇒短期の計画はあるのか?
修正は行われているのか?
外注管理は外注品の在庫管理と合わせて資材管理課がやってた
生産統制(進捗管理)は週1の生産会議で調整されていた。
⇒設計部は参加したり、しなかったり
週次日程計画表の各作業の工数見積もりも属人化している(=標準化されていない)
弱み
工程管理の混乱⇒生産管理が不十分
弱み
ITといえばDRINK
製缶課は仕事が追い付いてない
⇒またしても弱み
工程の順番
①機械加工工程(機械加工課)
②製缶工程(製缶課)
③組 立工程(組立課)
メンテナンスの担当
X社以外の案件:顧客企業
X社の案件:C社の営業
⇒立場が弱い?弱み
解答の前に各部門の意見(仮)を聞いてみました。
先に事例Ⅲについて書いた記事(下記)では、部門間の立場の違いにより発生する食い違いについて、「全体最適化」の視点から解説してみました。
せっかくなので、今回もこの視点から各部門の声を拾い上げて(あるいは勝手に想像して)みたいと思います。
営業部の主張
- 強みの提案力で訴求、どんどん受注獲得したい
⇒せっかくだから社長のノウハウをもっと教えてくれ - 部長の出す見積は原価の上昇を反映してない
⇒利益出てんの?俺らのボーナス大丈夫? - 設計変更や納期短縮の要望が増えたけど、お得意様の希望だからやむなし
(製造部は混乱とか言われても…) - 設備も人員も強化したんだから製造部はしっかりしろ
⇒納期遅延なぞ許さん! - X社関連でメンテナンスやっている時間があったら商談に行きたい
⇒そういう部門とか担当者がいればいいのに…
⇒むしろ他でもメンテナンスやってあげたら仕事もらえる? - 受注管理システム(営業部)と部品構成表(製造部)が分断されているのが不便
設計部の主張
- 受注後に設計変更の要望があるのは営業部にも問題がありそう
⇒顧客の満足させる提案ができてないのでは? - 設計変更があると、損度に生産会議に呼び出される
⇒仕事が止まるぞ、勘弁してくれ - 求められる性能を満たしたうえで、製造がはかどるようVE提案するのはあり?
製造部の主張
- 工数見積が課長たちの経験(=ようはただのカン)で決まるのは問題
- そもそも大日程計画と週次日程計画では根拠となる工数見積が違うのでは?
- 受注量増加+納期短縮+設計変更 ⇒ つまり無理
- 機械加工課と組立課「製缶課の残業が多い?手伝ってやりたいけど、やり方が分からん」
- 製缶課「残業多すぎ、誰か助けて」
- 製造部長「生産管理課は製缶課がボトルネックにならないよう調整しろ!」
- 生産管理課「いや、生産計画は立ててるけど、進捗管理してるのは生産会議だし…」
- ITさえ導入する前にやることがあるはず
C社長の不安
- 俺のノウハウにばかり頼るんじゃねえ!
- 設備も人員も強化したんだし、現場の事は部長クラスでなんとかしろ!
- X社への売上依存はマズいかも
- 製造部が納期遅延を起こさないか心配
- 製缶課の残業がヤバい、誰か倒れる前に手を打たねば…
⇒多能工化を進めて製造部全体で協力しあわんかい! - 我が社も受託生産⇒直接契約に移行する時期なのでは?
第1問 ただただシンプルな強みの分析(20点)
C 社の強みを80 字以内で述べよ。
第1問は強みを普通に応えるだけです。
上(⇧)で与件文の隣に書いたコメントなどを参考にしてください。
解答例:
強みは、①工場の生産性向上につながるC社長の提案能力、②設計・製造の人員強化により特注品にも対応可能、③工業団地への移転や設備増強による生産体制の充実、である。(80字)
工業団地に移転したことで、普通に考えれば設備が充実しただけでなく工場のレイアウトも良くなったと推測されます。(少なくとも悪くなる訳はないのでは)
第2問 生産能力を高めよう!(20点)
事例Ⅲは事例Ⅱほど明確に解答要素の切り分けができないことがあります。
それは、
- 第2問で生産効率(生産能力)
- 第3問で生産管理
それぞれの改善が問われている場合、「ボトルネックの解消」は両方に関係するのでどっちにも書かざるを得ない、みたいな場合があるからです。
ですので私は
事例Ⅱでは解答要素は極力切り分ける、
事例Ⅲでは解答要素が被ろうが知ったことか
という基本方針でした。
今回の第2問についてもこの方針に沿って考え、続く第3問との解答の被りは意識しないことにします。
コロナ禍以降増加傾向にある受注量に対応するため、C 社製造部では工程改善によって生産能力の向上を図る検討を進めている。どのように工程改善を進めるべきか、100 字以内で助言せよ。
まずは何は無くとも製缶課のボトルネックの解消が必要なので
- 作業員を多能工化、他の課から応援を出せるようにする
- 工数を標準化、各課で負荷が偏らないような生産計画にする(平準化)
- 負荷がどうしても偏るなら人員の再配置
解答例:
①製造部全体の作業員を多能工化、進捗状況により製缶課に増援を出す、②工数を標準化し負荷を平準化した生産計画を立案、③中長期的には負荷に応じた再配置も検討する、により製缶工程のボトルネック解消を図る。(99字)
脱線:登場人物になったつもりで考えてみる
この記事の読者の大半が社会人かと思います。
実際に職場にいる人たちを思い浮かべて頂くと(あるいは思い浮かべてみるまでもなく)明白なのは…
みんな、
自分の仕事を増やしたくない
面倒くさいのは嫌だ!
責任なんか取りたくない!!
ということです。
C社が現実世界に存在したとして、社内の人の気持ちを考えてみると、
製造部長
「自分が先頭に立って多能工化を推進したり工数を標準化するのは面倒くさいし絶対ヤダ。課長とかがやってくれないかな」(チラッ)
製造各課の課長
「権限を持ってる部長なり社長が全体のことを仕切ってくれないと…。自分から動いたとして、上手くいかなかったら『お前のせいだ』となるのは目に見えてるし…」
社長
「役職者にはそれなりに給料払ってるんだから、自分らで何とかしろ!」
…みたいになると思います。
問題があるのは明白なのに、関係者がお互いに牽制し合って事態が動かない
そんな時には
- 危機感を持った人が立ち上がる
⇒「いいから、やれ!責任は俺が取る!」 - 外部の偉い人が言ってたことにする
⇒「コンサルの○○先生が、そうしろと言ってました」
(上手くいかなかったら、その人のせい)
個人的な考えですが、活気がある組織というのは①みたいな人が登場することで問題が深刻化する前に改善を図っていける組織のことではないでしょうか?(②はもうダメな組織)
あるいは①みたいな人を見出したり、育てたりできることこそ経営者の真価なのかもしれません。
この節で何が言いたかったのかというと…
多年度受験生の方で、
繰り返し過去問をやっているけど停滞を感じている
という方は
試験対策としての勉強、つまり
最短時間で解答を作成する練習
からいったん距離を置き、事例企業の登場人物になったつもりで与件文の世界を眺めてみると、また違う発見があると思います。
第3問 工程管理をなんとかしよう!(20点)
C 社では、受注量の増加や納期短縮要請などの影響で製造部の工程管理が混乱している。どのように工程管理業務を改善するべきか、その進め方を 100 字以内で助言せよ。
第2問のところで書いた通り、解答要素の被りは気にしないことにします。
そうすると現状では
- 大日程計画は生産管理部が作成
- 週次日程計画は生産会議で作成
- 週次日程計画の工数見積は製造部長の匙加減による
となっているため、やるべきこととしては
作業の標準化
⇩
工数見積の標準化
⇩
大日程計画作成は生産管理部任せにせず製造部長も加わる
⇩
週次日程計画は進捗状況、納期変更、設計変更の情報とあわせて一元管理
(営業部や設計部とも共有)
⇩
PDCAを行い、生産管理全体の精度を高める
解答例:
助言は、①作業および工程見積の標準化、②大日程計画作成には製造部長も加わり統括、③週次日程計画は進捗状況、納期変更、設計変更の情報とあわせて一元管理する、④随時PDCAを行い生産管理全体の精度向上を図る。(99文字)
①~③を実施しても、その後の改善を怠れば何にもならないので④は必要かと思います。
第4問 色々言いたいことがある価格交渉(20点)
C 社の顧客企業との契約金額は、最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは行われているものの、現状のコスト高には対応できていない。今後、顧客企業と価格交渉を円滑に行うための社内の事前対策を 120 字以内で助言せよ。
今どきの中小企業の置かれた状況を反映した問題だと思います。
とりあえず、営業部が取引先に提出する見積に客観性が無いとダメなので、
- 過去の契約金額を参考にするのはやめる
- 製造部の持つ、工数や部品価格、外注価格の情報を共有
これにより交渉の下地となる見積価格がいったん出せると思います。
さらに私の体験してきた「中小企業あるある」として、発注後の変更(設計変更・納期変更)も見積価格内でやってしまっていることが往々にあります。
このくらいの変更だったらタダでいいよね!
…って、いいわけあるか!!(ふざけるな!)
ということで
- 設計変更や納期変更の都度、見積を再提示することで原価を正しく反映する
これを(個人的に)強く推したい!!
ただし、設問文には「事前対策」とあるので表現を考える必要があります。
さらに、そもそもなぜ設計変更や納期変更が発生するのかという問題があります。
変更が発生するのは受注したものの、先方はその内容に本心では納得していなかった(だから変更希望が出てきた)ということではないでしょうか?
そのため
- 社長の提案ノウハウを共有し、初期から相手のニーズを的確に反映をした提案することで後々の変更発生を防ぐ
これも個人的には入れていきたいと思います。
解答例:
助言は、①過去の契約に基づく見積を廃止②工数や部品価格など製造部の情報をITで共有し見積を標準化③設計・納期の変更は再見積となることを明確化④先方のニーズを捉えた提案ができるよう社長のノウハウを日頃から共有し変更の発生を未然に防ぐ、である。(119字)
この解答を試験時間内に私が書けるかといったら、はっきり言って無理です。
もはや受験生ではないこといいことに、中小企業でしか働いたことがない人間の思い入れ(or 怨念)を込めた解答になりました。そのため予備校の解答例とはだいぶ異なるかと思います。
第5問 未来に向けて羽ばたくC社(20点)
C 社社長は、小規模の工場施設や物流施設の新設や更新を計画している企業と直接契約し、自社企画の製品を設計、製造することで事業を拡大したいと考えている。この新しい事業展開を成功させるにはどのように推進するべきか、120 字以内で助言せよ。
事例Ⅲの典型的なパターンは下記のようになります。
- 第1問で強み等を分析
- 第2~4問で課題に対して助言
- 最終(第5問)で新規事業など今後の事業展開や経営戦略に対して助言
令和6年の第5問もこのパターン通りとなりますので、受験生はC社が未来に向かって羽ばたいていくための助言を贈らなければなりません。
ここで大事なこととして
皆さん、第1問で解答したことを覚えていますか?
第1問で分析した内容と整合性がある解答を意識しましょう!
考えられる解答要素としては
- 営業部を強化する
⇒社長のノウハウを継承、提案力により付加価値向上
⇒設備納入だけでなく工場設備レイアウトのコンサル的なこともできるはず
⇒ついでにメンテナンスもできる - 製造部を強化する
⇒生産管理を徹底し特注品対応への対応力を高める - 同じ工業団地内の企業を新規顧客にできないか
⇒アイデア解答になる可能性もあるが、実績作りには丁度良さそう
解答例:
助言は、①社長の提案力を営業研修にて共有、設備納入に加え工場レイアウトの提案・メンテナンスまで行うことで付加価値向上、②生産管理を強化し特注品でも短納期対応を可能にする、③当初は工業団地内の企業に営業活動を行い直接契約の実績を作る、である。(120字)
令和6年の事例Ⅲはこれで終了です。
過去問では見られなかったような論点は無く、難易度的にも先に解いた事例Ⅱよりは低いと思います。
ただ、何を書けばいいのか途方に暮れてしまうような設問は無い分、上位2割に食い込むためには論点の取りこぼしをしないように最後まで注意しなければならない問題だと思います。
ということで、今回はここまで。