こんにちは、柴山です。
今回は、
今はまだ中小企業診断士1次試験の勉強をやっているけど、いずれは2次の準備にも取り掛かりたい…
…というか、いつまでも1次の勉強ばっかりしていてええんやろうか、
と思っている方に2次試験のとっかかりを提供します。
ということで事例Ⅰ~Ⅲの分析問題の解説です。
基礎知識:事例Ⅰ~Ⅲは分析問題と助言問題でできている
2次試験(正確には2次筆記試験)は事例Ⅰ~Ⅳの4科目で構成されています。
4科目のメインテーマは下記の通りです。
・事例Ⅰ:組織・人事
・事例Ⅱ:流通・マーケティング
・事例Ⅲ:生産・技術
・事例Ⅳ:財務・会計
このうち事例Ⅰ~Ⅲについては、設問が「分析問題」と「助言問題」で構成されるという点で共通しています。
分析問題
前半に出る。与えられた条件に沿って事例企業、または事例企業を取り巻く周辺環境を分析、解答する。
例:A社の強みと弱みについて30文字以内で述べよ
助言問題
後半に出る。事例企業の課題や今後の経営戦略についての助言を解答する。
例:A社は今後どのような事業展開をしていくべきか、100文字以内で助言せよ
で、1次の勉強がある程度進んだ方に私が提案するのは、
1次の勉強の合間にでも、
多少は分析問題に慣れておいた方が良くね?
ということです。
別に余力があれば助言問題をやってみてもいいのですが、それは分析問題に慣れてからからで良いと思います。
分析問題にもいくつか種類がある
例として過去問を引用します。
令和5年 事例Ⅰ
第 1 問(配点 20 点)
統合前の A 社における①強みと②弱みについて、それぞれ 30 字以内で述べよ。
第1問はだいたいSWOT分析・3C分析
大抵の場合、第1問は次の2パターンのいずれかです。
⑴SWOT分析せよ、3C分析せよ、など直接的な問い方をしてくる
SWOT分析、3C分析といった用語の意味が分からない人は、2次の問題に着手するのは時期尚早です。「企業経営理論」の勉強をやり直してください。この場合、問われていることは明白なので、あとは指定の文字数に収まる解答を作成するだけです。
⑵間接的な問い方をしてくる
これは〇〇分析をせよ、とは設問文には書いていないけど、要は〇〇分析しろってことだよね、という問題です。
例:A社の強み・弱みについて述べよ
→SWOT4要素のうち、SとWの2つを聞いています。
A社がこれまで業績好調だった理由を答えよ
→「業績好調だった理由」ということは、結局これも強みを聞いています。場合によっては市場環境も解答に含まれるかもしれません。
私が今回オススメするのは、過去の事例Ⅰ~Ⅲの第1問の中から、上記⑴⑵パターンの該当する問題だけを解く練習をしておく、ということです。与件文をしっかり読めば、解答に入れるべき情報が必ず書いてあるので難易度は低いはずです。
科目合格により次回の1次試験には余力が有るという方は、余力に応じて早めに着手しておけば1次突破後に幾分ですが楽ができます。あと1次試験が終わるまでの間に「自分は1次の勉強ばかりしてて大丈夫なんだろうか」というプレッシャーからも少しは解法されると思います。
ちなみに、過去問を見ていくとSWOT分析や3C分析ではない、難易度が高い第1問というのもあります。
令和3年 事例Ⅰ
第1問(配点 20 点)
2 代目経営者は、なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか、100 字以内で述べよ。
こういう問題もいずれは解けるようになる必要があります。
なので間違えようが的外れな解答になろうが当然、
くらいの気持ちで1次勉強中のうちからやってみるは全然アリだと思います。なお自分が作った解答と解答例があまりに違っても落ち込まないようにしてください。
ちなみに上の問題の解説をじっくりすることはここではしないですが(検索すればいろんな方が書いているのが出てくるので)、ポイントとしては2 代目経営者はA社が生き残るために
・高付加価値が見込める分野に経営資源を集中する
・新規参入業者に対しての差別化を図る
この辺のことを考えたから、といった解答が書ければ点数はもらえます。つまり設問文のどこにも書いていなくても、これは差別化集中戦略など競争戦略の観点から答えるんだな、ということがピンとこないと解けない問題です。
第2問は分析問題と助言問題の両方の場合がある
ここでは第2問が助言問題だった場合はいったんおいておきます。以下は第2問として出題された分析問題です。
令和5年 事例Ⅰ
第 2 問(配点 20 点)
A 社の現経営者は、先代経営者と比べてどのような戦略上の差別化を行ってきたか、かつその狙いは何か。100 字以内で述べよ。
上で書いたように、第1問がSWOT分析や3C分析を問うてくる場合が多いのに対し、第2問の分析問題では経営者の意図(戦略)や、特定の事業が上手くいかなかった要因など様々なことが問われます。
SWOTや3Cのような分かり易い問われ方をされることは少ないので、第1問よりは難易度は上がります。
とりあえず2次の問題に少しは慣れる
ということを目標とするなら、やはり当面は第1問だけをやってみるのが良いのではないでしょうか。
分析 ⇒ 助言は実際のコンサルティングの流れに近い?
最後に、2次試験の問題がなぜ分析問題と助言問題で構成されるかという話です。
貴方が実際にどこかの企業からアドバイスを求められたとして、いきなり社長に向かって
これからの時代は、これをやっとけば間違いないっすよ~
とか語り出したりはしないはずです。
普通は支援先企業の情報を集めたり、業界の事情を調べたりして、相手企業が置かれている状況を「分析」してから「助言」するのが普通の流れです。
2次試験の流れも同様で、与件文で与えられた情報により事例企業の状況を分析してから助言する、という流れになっています。このため、いずれ助言問題に挑戦する時まで覚えておいて欲しいのは
分析問題の解答と助言問題の解答には一貫性があるべき
ということです。
この会社の強みは〇〇、と分析しておきながら、その強みを全く生かさない助言は現実のコンサルとしても変で、2次試験の解答としてもダメなはずです。
この記事を読んでいる方が助言問題に取り組むのは少し先になるかと思いますが、余裕があれば助言問題の入門編として下記記事もどうぞ。
ということで、今回はここまで。