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こんにちは、柴山です。
補助金を申請するための大前提として不可欠なのが、
そもそもウチの会社や、これから行う事業は補助金の対象となるのか?
ということの確認です。
これらの条件は全て公募要領に書かれているのですが、予備知識無しに公募要領を読み解くのは結構大変です。
そこで今回は主に第22次「ものづくり補助金」(正式名称は『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』)を例として、これらを解説します。
補助金の対象となる事業者は?
第22次「ものづくり補助金」の公募要領によると補助金の対象となるのは以下①②③の条件を満たす事業者です。
- 日本国内に補助事業の実施場所を有している
- 常時使用する従業員の数が1人以上
- 以下のいずれかに該当する者
・中小企業者
・小規模企業者・小規模事業者
・特定事業者の一部
・特定非営利活動法人
・社会福祉法人
さらに中小企業、小規模事業者の定義は、以下のように業種ごとに定められています。
中小企業
| 業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
|---|---|
| 製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
| 卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
| 小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
| サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
※ソフトウエア業、情報サービス業は「製造業その他」と同じ定義が適用されます。
小規模事業者
| 業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
|---|---|
| 製造業その他 | 従業員20人以下 |
| 商業・サービス業 | 従業員 5人以下 |
※商業には卸売業、小売業が含まれます。宿泊業・娯楽業では従業員20人以下の事業者を小規模企業としています。
その他、特定事業者など
他に所定の条件を満たす組合や非営利活動法人なども補助金の対象になる場合があります。が、ここでは説明を省略します。
条件は他にもある
上でまとめた中小企業や小規模事業者の条件を満たしさえすれば、全ての事業者が補助金となるわけではありません。
- 直近で他の補助金の採択実績がある事業者
- 大企業からの出資割合が一定以上の事業者(子会社)
- 暴力団と関係がある事業者
などは対象外です。さらにグループ会社など「みなし同一事業者」の規定に該当する場合、グループ内からは1社しか申請できません。
他にも様々な規定がありますので、自社が補助金の対象になる・ならないについては各補助金の公募要領を確認する必要があります。
「事業」が条件を満たすことも必要
さて、
ウチは日本国内で営業する、まぎれもない中小企業だし、
間違いなく今度の補助金の対象になる!
…とはなりません。
まず「ものづくり補助金」には以下のような目的が定められており、これに合致した事業でなければなりません。
中小企業者等が今後複数年にわたる相次ぐ制度変更に対応するため、生産性向
上に資する、革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業のた
めに必要な設備投資等に要する経費の一部を補助する事業を行うことで、中小
企業者等の生産性向上を促進し経済活性化を実現することを目的とします。
なお、ここでいう「事業」とは設備投資など補助金を活用してやろうとしていること、という意味で捉えてください
さらに公募要領には、
今回はこういう要件を満たす「事業」を補助金の対象とします
ということが定められていますので、そちらのチェックも必要です。
ものづくり補助金の基本要件とは?
第22次「ものづくり補助金」の公募要領を元に、補助金の対象となるための事業の基本要件(概略)を以下にまとめました。基本要件とは、どの枠(後述)に応募するかに関係なく満たさなければならない条件のことです。
申請する事業者は、補助金によって行う事業で①~③全ての条件を達成する計画を立てなければなりません。
- 付加価値額が年平均成長率(CAGR)で3.0%以上増加
- 賃金が年平均成長率で2.0%以上増加
- 事業所内最低賃金水準が都道府県別に定められた最低賃金より+30円以上
さらに従業員21名以上の事業者は応募する時点で次世代育成支援対策推進法で規定する「従業員の仕事・子育て両立支援」を策定・公表している必要があります。
※事業計画書、年平均成長率(CAGR)、付加価値についてはこちらで概略を解説しています。
応募枠によって必要な追加要件とは?
補助金申請を分かりにくくしているのは、1つの補助金の中に複数の枠があることです。
第22次「ものづくり補助金」では、
- 製品・サービス高付加価値化枠
- グローバル枠
以上2つの応募枠があります。
補助金の対象となる事業者である前提で、
①は上記「基本要件」を満たせば応募できますが、②は追加の要件を満たすような事業計画を立てる必要があります。
補助金の対象になるための要件(条件)のイメージ

補助金の採択を受けるには、公募要領に従い
①自社が補助金の対象となる事業者か
②これから行う事業が「基本要件」を満たすか
③さらに応募枠ごとに設けられている「要件」も満たすか
これらを確認する必要があります。
グローバル枠で応募するために要件とは?
細部は省略しますが、グローバル枠で応募するためには基本要件を満たしたうえで
- 海外への直接投資に関する事業
- 海外市場開拓(輸出)に関する事業
- インバウンド対応に関する事業
- 海外企業と共同で行う事業
以上のいずれかに該当し、国内の生産性を高めること等の条件が追加されます。
「製品・サービス高付加価値化枠」に比べて「グローバル枠」の方が条件が厳しくなる反面、補助金の上限額が従業員数に関係なく3000万円となり、より大規模な投資に活用できます。
一方で、「製品・サービス高付加価値化枠」では従業員数ごとに補助金上限額が決められており、最大でも2500万円までです。

グローバル枠に応募することで、より大規模な投資が可能です。
要件を達成できないとどうなる?
補助金を申請する際に提出する「事業計画」では、これら要件に対して数値目標を掲げ、その達成のために尽力する必要があります。
その上で付加価値額の増加、賃金の増加などの目標を達成できなかった場合(要件未達成)、目標値と実績値の差額を返還しなければならないといった義務が乗じます。
従って、採択されるためだけに実現不可能な高い目標を掲げると、後から自分が苦しむ結果となります。

高過ぎる目標を掲げた結果、後悔する経営者
※企業全体の営業利益が赤字になったり、災害など事業者の責めに負わない事由がある場合など、返還が免除となる場合についても公募要領に記載されています。
上限額をアップできる「特例措置要件」とは?
さらに第22次「ものづくり補助金」では「特例措置要件」が設けられています。
ここまでで説明したのは「ものづくり補助金」の応募に必須なのに対して、特例措置要件はさらに有利な条件で補助金を受けるための条件です。
具体的には、
- 「大幅な賃金引上げ」の要件を満たす
⇒補助金上限額100~1000万円アップ(従業員数によりアップ幅は異なる) - 最低賃金引上げの要件を満たす
⇒補助率が1/2 から 2/3にアップ
以上のように、より厳しい条件のクリアを目指す代わりに優遇を受けられるという措置になります。
なお、こちらにも未達成の場合には返還義務が設けられていますので、無理な事業計画は禁物です。
公募要領の分かりづらさ = 要件の分かりづらさ?
このように補助金申請においては、
どのような条件を満たせば補助金の対象となるのか?
という点において様々な要件(条件)が設定されており、これが分かりづらさの原因となっています。
とはいえ要件をきちんと満たすように「事業計画書」を作成しないと、採択されることは不可能です。補助金申請を行う上で、要件の理解は避けて通れないプロセスとなっています。
次回は、申請に不可欠な「事業計画書」とは? について解説します。

