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こんにちは、柴山です。
制度上、補助金申請に必要な書類作成や手続きは事業者自らが全て行うことが可能で、むしろそうすることが推奨されています。
しかし、リソースの限られている中小企業の社内で実務を完結することは難しく、外部専門家のサポートを得て申請を行う事業者が多いのが実情です。
そこで今回は主に「新事業進出補助金」を例として、士業を始めとした外部専門家の活用方法について説明します。
新事業進出補助金の概要
最初にまず新事業進出補助金がどのようなものか説明します。
これは中小企業や小規模事業者が、既存事業とは異なる新たな事業に挑戦する際に、その初期投資や取り組みを支援するための補助金です。
単なる設備更新や業務効率化ではなく、
- 新しい市場への参入
- 新しい製品・サービスを新しい顧客へ提供
といった、企業の将来を左右する「新たな一歩」が対象となります。
そのため申請する上では「いくら売上が増えるか」だけでなく、
- なぜその新事業に取り組むのか
- 自社の強みや課題解決とどうつながるのか
- 新事業を実行できる体制が整っているか
- 賃上げなど会社の中長期的な成長につながるのか
といったことを事業計画書で客観的に説明する必要があります。このブログで繰り返し説明してきた通り、採択されるためには応募他社よりも優れた内容が必要なため、まとめるにはそれなりの労力がかかります。
事業者(経営者)が担うべき役割【最重要】
全ての補助金の申請において、最も重要な役割を担うのは、間違いなく事業者自身です。
新事業進出補助金においては
- なぜ、この新事業をやりたいのか
- 自社の現状ではどのような課題があるのか
- 自社の強みは、新事業でどう活きるのか
- 資金調達のうえで不安はないのか
これらを事業者自らが考える必要があり、外部専門家が代わりに考えることはできません。
とある架空の企業の例
地方で長年、自動車部品メーカーの下請けとして金属加工を行ってきた製造業がありました。
自動車を巡る関税問題の発生により取引先から値下げを要求され、売上および利益率が著しく低下しました。
そこで経営者は自社の加工技術を活かし、医療機器向けの高精度部品という新市場への進出を構想しました。自社の技術がどのような医療機器に活かせるか、既に目途がついています。
この構想そのものは経営者自身が長年感じてきた「このままでは先がない」という問題意識から生まれたもので、この問題意識やそれに伴う決断がなければ、新事業進出補助金の土俵に立つことはできません。

自社の持つ技術について一番良く分かっているのは、言うまでもなく社内の方です。
外部専門家の役割①中小企業診断士の場合
中小企業診断士は経営コンサルタントとして唯一の国家資格です。マーケティング、マネジメント、運用管理など企業経営に不可欠な分野が試験範囲に含まれ、実際そういった領域での経営相談を行っている方が多いです。
補助金申請において中小企業診断士に期待される役割は、新事業を構想を経営者と共有したうえで
- 既存事業のSWOT分析や課題整理を行う
- 新事業と既存事業の関係を整理する
- 市場・競合・成長性を構造的に分析する
- 賃上げなどの要件に沿って収益計画を作成
など、経営者の考えを言語化、一貫性のある事業計画にまとめることです。言わば中小企業診断士は経営者の考えの裏付けを取る支援者だと言えます。
外部専門家の役割②行政書士の場合
どれだけ優れた事業構想でも、各補助金ごとの要件に従って申請を行わなければ採択されません。
2026年1月から施行された行政書士法により、補助金のための書類作成、申請を有償で行う(代行する)ことは行政書士の独占業務となりました。
これを受けて行政書士には
- 公募要領の正確な読み取り
- 事業計画書その他の資料を指定様式に沿って作成
- 電子申請のサポート
といった、行政に提出する書類の作成や申請代行のエキスパートとしての役割が期待されます。
一方で、補助金申請で不可欠な市場分析については行政書士の試験範囲にも含まれておらず、実務で関わることもあまりありません。このため行政書士が補助金申請支援を完結させるには前述の中小企業診断士との協業体制を整えるか、または自力で上記分野を学ぶ必要があります。
補助金申請に必要な市場分析については以下の記事をご覧ください。

外部専門家の役割③税理士の場合
税理士の中にも個人的にマーケティング・マネジメントを学び、コンサルタント的に活躍されている方もいらっしゃるかと思いますが、ここでは一般的な税理士の業務範囲で考えます。
結論から言うと税理士と連携が取れていることで、補助金申請のための書類準備~交付後の税務処理までがスムーズになります。
決算書などの準備
新事業進出補助金では、
- 直近2期分の決算書
- 直近1期分の確定申告書、事業概況説明書、別表
などが必要になります。
既に税理士と提携していれば、これらの書類は申請時点で揃っている状態となり、不明点があれば教えてもらうこともできます。
補助金交付後
税理士の役割が最も明確になるのは、補助金が採択された後です。
補助金は、原則として受け取った年度の収入として扱われます。一方で、新事業進出補助金では、高額な設備投資や、新たな経費の発生を伴うことが一般的です。
このとき重要になるのが、
- 新事業による収益・経費の正確な把握
- 圧縮記帳など補助金収入の処理
- 全社的な税務処理の見直し
といった、補助金交付後の税務判断です。ここは行政書士や中小企業診断士が代わりに判断できる領域ではありません。
その他の外部機関との関りは?
補助金申請を巡り、以下の外部機関との関りが考えられます。
金融機関:
事業実施にあたって金融機関からの借入れを行う予定の場合は、金融機関の確認書が必要です。
外注予定先:
導入を予定している設備機器のメーカーや商社などとの情報共有・打合せは必須です。自社の強みと外注先のノウハウをどう新事業に活かしていくか、事業計画書に具体的に書くことで採択の可能性が高まります。
また、新事業開始にあたりホームページをリニューアルしたり広告を実施する場合、広告代理店との連携が必要となります。
その他コンサルタント:
前述の士業以外の、いわゆる経営コンサルタント(個人・法人)も使い方次第で有効です。ただし、法外な料金を請求してきたり、本来は事業者が主体で行うべきことまで「丸投げでOK!」のようにうたっている業者もあるため注意が必要です。(内容によっては違法行為となります)
まとめ
繰り返しになりますが、補助金申請は事業者だけでも行うことが可能です。しかし、人手が足らない中小の事業者にとっては事情に応じて外部専門家を活用することが、社内負担の軽減および採択の可能性を高めることにつながります。
反面、外部専門家に依頼すれば経費が発生することになります。このため社内のリソースを考慮の上、誰にどの役割を任せるかを判断するのが経営者の重要な仕事です。

